黙祷は夢の中で

夜勤。

出勤は遅く、退勤は早い。

なんて素晴らしいんだろうか。

 

そんな夜勤にも、大敵がいる。

草木が生い茂る頃、奴らは来る。

 

 

蚊だ。

 

仕事が一段落し、仮眠室に入る。

ベッドに横になり、灯りを消す。

するとどこからか聴こえるあの羽音。

 

寝れない。

今寝てしまえば、翌朝苦しむだろう。

 

昔から蚊に刺されると人より腫れる体質。

やられる訳にはいかない。

やられる前にやるしかない。

 

消した灯りを再び灯し、探す。

神経を研ぎ澄ませ、周囲を見渡す。

 

見つけた。

 

壁に止まり休むあいつを。

 

こちらは休めぬと云うのに。

 

 

許せない!!!!!!

 

目を離すものか。

命途絶えるその時まで。

 

上げた平手を振り下ろす。

壁に向かって、強く、早く。

 

また1つ、生命を奪ってしまった。

弱肉強食。自然の摂理である。

 

さて、寝るか。